「BtoBマーケティングって何から学べば良い?」
「実際にマーケティングを実施する時に気をつけることは?」
「マーケティングに成功した企業は、実際にどんなことをしていたのか?」
企業の業績アップには、適切なマーケティング戦略が不可欠です。
しかし、「BtoBマーケティングをどう進めれば良いかわからない」と困った経験をした人もいるのではないでしょうか。
本記事では、次の4つの観点から「BtoBマーケティングの戦略」について解説しています。
本記事を読むことで、基礎知識だけでなく、マーケティングの実務プロセスも学べ、自社の売上に貢献できます。
ぜひご覧ください。
BtoBマーケティングとは?
「BtoB(Business to Business)」とは、「企業を顧客として製品やサービスを販売するビジネス」のことです。
あなたがBtoBマーケティングに関わることになった場合、「BtoC(=Business to Consumer)」との違いや、戦略の重要性を理解しておかなければいけません。
そこで、本項目は以下の2点を中心に「BtoBマーケティングの概要」を解説していきます。
ひとつずつ解説していきますので、チェックしてみてください。
1.「BtoB」と「BtoC」の違い
「BtoB」と「BtoC」では、「顧客対象」や「成約までの期間」などが異なります。
項目 | BtoB (事業者向けビジネス) | BtoC (消費者向けビジネス) |
---|---|---|
顧客 | 企業や組織 | 一般消費者 |
成約までの期間 | 長い | 短い |
製品やサービス内容 | 専門的かつ高価格 | 一般的で手頃な価格 |
購入の動機 | 「合理的理由」が多い ・業務の効率化 ・コスト削減 など | 「感情的な理由」が多い ・他人からよく見られたい ・楽しい思いをしたい など |
互いの関係性 | 長期的 | 短期的 |
BtoBマーケティングの施策を立てるうえで最も注意すべき点は、成約までに長い時間がかかることです。
1つの項目を決定するのにも多くの人や部署が関わるため、成約完了までに半年から1年以上かかることも珍しくありません。
2.BtoBマーケティングが重要視されるようになった理由
BtoBマーケティングが重要視されるようになった理由は、SNSやインターネットの普及により、顧客側の購入プロセスが変化したためです。
購入プロセスの変化により、企業側も営業方法の効率化を迫られました。
こうして、データを用いて効率的に営業を行う「マーケティング」という考えが重要視されるようになったのです。
BtoBマーケティング戦略の軸となる4つの型
マーケティング戦略を決定するには、次の4項目を軸に考えることが重要です。
ひとつひとつ、順番に解説していきます。
1.「何をするのか?(Objective)」:「目的」を設定する
マーケティング戦略を立てる際は、最初に「目的」を決めましょう。
目的を明確にしないと、その後の戦略立案や実行の段階で無駄が生じてしまいます。
また、戦略に関わるチームの足並みを揃えることも難しくなるでしょう。
適切な目的を設定するコツは、次の3つです。
明確な目的設定こそが、以後のマーケティング戦略の土台となります。
あやふやな内容ではなく、明確なゴールを設定しましょう。
2.「誰に売るのか?(Who)」:「ペルソナ」を設定する
目的が設定できたら「誰に売るのか?」を検討します。
成約率を上げる最も効率の良い方法は「必要な人に」「必要な物を」売ることです。
そのためには、次の項目を分析して「仮想顧客(ペルソナ)」を設定していきます。
ペルソナを決める際の分析項目
- 顧客の属性:年齢、性別、業界、企業規模など
- 顧客ニーズ:解決したい課題・製品の購買意欲・予算感
- 自社の強み:自社製品の強み・解決できる課題・競合と差別化できるポイント
- 競合他社の情報:競合の製品情報・自社製品が勝っている部分
「ペルソナ」を設定しない場合のデメリットは次の5点です。
「ペルソナ」を設定し、ターゲット顧客を絞り込むことで、こうしたデメリットも避けやすくなります。
今後のマーケティングをスムーズに進めるためにも、ペルソナは必ず設定しましょう。
3.「提供する価値は何か?(What)」:「ベネフィット」を設定する
ペルソナを設定したら「顧客に提供する価値(ベネフィット)」を設定します。
特にBtoBマーケティングにおいては、設定するベネフィットは慎重に決めなければいけません。
なぜならBtoBとBtoCでは、求めるベネフィットが異なるためです。
顧客 | 求めるベネフィット |
---|---|
企業(BtoB) | 「機能」や「性能」を重視する ・業務を効率化したい ・コストを削減したい ・リスクを回避したい など |
個人(BtoC) | 「欲求」や「利便性」を重視する ・自分をよく見せたい ・楽をしたい ・感動したい など |
BtoBの顧客は「業務の効率化」や「収益アップ」といった、企業経営に直結するベネフィットを重視する傾向にあります。
そのため、顧客の業種やビジネスモデルなどを理解したうえで、具体的かつ実用的なベネフィットを提示することが重要です。
顧客ニーズを満たすベネフィットを提示するには、自社製品の強みを分析し、提供する価値を把握しなければいけません。
顧客ニーズを満たす最も強い「価値」を分析し、戦略の方向性を絞り込んでいきましょう。
4.「どのように届けるか?(How)」:「4P」を設定する
ペルソナとベネフィットを決定したら、「届ける手段」を設定します。
「届ける手段」を設定する際は、「4P」を軸に考えましょう。
マーケティングにおける「4P」
「4P」を検討することで、自社の製品やサービスを効果的に届ける方法が見えてきます。
顧客への価値提供を最大にするためにも、すべての要素をこと細かに調査し、最適な組み合わせを探しましょう。
BtoBマーケティングを成功させる6ステップ
実際のBtoBマーケティングでは、次の6ステップに沿って進めていくのが一般的です。
ひとつひとつ、詳しく解説していきます。
1.市場を調査する
市場調査はマーケティング施策の土台となる、もっとも重要な作業です。
まずは、過去の営業実績を振り返り、成約に至ったケースを分析していきましょう。
分析すべき項目は次の5つです。
分析項目 | 内容 |
---|---|
成約プロセス | 見込み顧客の獲得方法商談に至った経緯 など |
顧客属性 | 年齢、性別、役職、業種 など |
反応したコンテンツ | Webサイト、メールマガジン、セミナー・イベント など |
販売チャネル | 対面営業、ECサイト、代理店経由 など |
費用対効果 | マーケティング費用と売上との比較 |
これらの分析結果を元に、もっとも成約率の高い想定顧客(ペルソナ)を設定しましょう。
2.コンテンツを準備する
顧客に最適なコンテンツは、成約の場所や手段によって変わります。
【WebサイトやLP(ランディングページ(※1))での成約が多い企業の場合】
・製品やサービスの特長を解説したWebサイト
・費用や機能の比較表
・利用者の声を掲載したページ など
【対面営業での成約が多い企業の場合】
・製品デモや導入手順を解説した動画コンテンツ
・業界セミナーでの実演
・製品カタログなど印刷物の充実化 など
自社のコンテンツは見込み顧客に対する「顔」となる重要な存在です。
顧客の興味や関心を惹きつけ、自社の魅力が伝わるコンテンツ作りに注力しましょう。
- LP(ランディングページ)とは?
-
広告やSNSからの訪問者に製品やサービスを紹介するWebページのこと。
製品購入や申し込みを促す目的で作成する。
3.見込み顧客を集客・育成する
顧客の集客と育成は、「商談・成約」に繋げるための重要なプロセスです。
適切な集客・育成が行われないと、成約率の高い「優良な見込み顧客」を選べません。
まずは、以下の4つの方法を用いて集客しましょう。
- 検索サイトからの訪問者数を増やす対策を取る
- メールマガジンを配信する
- イベントやセミナーを開催する
- SNSで情報発信する
集客できた見込み顧客に丁寧な対応を継続することで、優良な見込み顧客へと育成していきます。
4.優良な見込み顧客を選別する
一定数の見込み顧客が獲得できた段階で、商談に繋がりやすい優良顧客を選別していきます。
選別の際の注意点は、見込み顧客の購買意欲が、それぞれ異なる点に注目することです。
成約率を高めるためには、より強い購買意欲を持つ顧客を選別しなければいけません。
優良顧客かどうかを判断するには、5つのポイントに注目しましょう。
優良顧客を選別する際は、MAツール(※1)の使用も効果的です。
収集したデータを分析し、購買意欲の高い優良顧客が選別ができたら、商談の段階に入ります。
- MAツールとは?
-
「マーケティングオートメーションツール」の略。
マーケティングに用いるデータ収集・分析・顧客育成などを自動化するツールのこと。
5.商談・契約する
「商談・契約」は、製品やサービスを購入してもらう最終段階となりますが、売上を上げることだけが目的ではないことを覚えておきましょう。
次の3点を意識して「顧客との長期的なパートナーシップを構築する」ことも「商談・契約」における目的のひとつです。
BtoBにおける顧客は、長期的な売上をもたらす重要な存在です。
商談を通じて製品以外に提供できる価値を示すことで、顧客からも信頼されやすくなります。
商談・契約は一時的なイベントではなく、長期的なパートナーシップの構築を目的に進めていきましょう。
6.リピーターになってもらう
無事に契約を取り付けた後は、顧客がリピーターとなるようにフォローを継続することが重要です。
企業にとって、リピーターの存在は収益アップに欠かせない存在と言えます。
なぜなら、マーケティングの世界では「売上の8割は既存顧客の2割が生み出している」と言われているためです。
リピーターが自社にもたらすメリットは、具体的に3つです。
リピーターは収益だけでなく、新規開拓の面でも大きな効果をもたらします。
そのため、一度契約した顧客にリピーターとなってもらうための施策が必要不可欠です。
- 顧客向けコミュニティの運営
- 優待キャンペーンの開催
- 満足度調査のアンケートを実施
契約後のフォローを継続し、リピーターを獲得・維持することが「BtoBマーケティング」の最終目標となります。
BtoBマーケティングの成功企業が実施した3つの共通点
BtoBマーケティングを成功させた企業には、3つの共通点があります。
それぞれ解説していきます。
1.経営層の理解と積極的な参加があった
1つ目は、経営層の理解と積極的な参加があったことです。
多くの場合、マーケティング部門単独で戦略を進めるには、リソースが不足しがちです。
そのため、施策の決定権を持つ経営陣が積極的に参加することで、効率よく施策を進められます。
経営陣には、次の3つの支援を依頼するのが望ましいでしょう。
- 経営方針とマーケティング戦略の方向性を調整してもらう。
- マーケティング予算を実施できる予算を配分してもらう。
- マーケティング担当者が業務に集中できるようにバックアップ体制を整えてもらう。
マーケティングは経営者の協力がなければ成り立ちません。経営層にはマーケティング業務への積極的な参加を呼びかけましょう。
2.マーケティング専任の人員を配置していた
マーケティングは高い専門性が求められる業務であり、戦略立案や施策実行といった、複数の項目を並行して進める必要があります。
したがって、担当者が本業と兼任している状態では、効率よくマーケティングを推進させることは困難と言えるでしょう。
マーケティング施策が止まると業績にも悪影響を及ぼします。最悪の場合、プロジェクト自体が中止するリスクも出てきてしまいます。
マーケティング施策を効率よく進めるためにも、最低1名はマーケティング業務に集中できる人員を採用しましょう。
3.マーケティング実施後のデータに基づいて改善を続けた
実際のマーケティングの場面では、計画当初に想定していた結果が出ない場合も多くあります。
しかし、マーケティングにはPDCAサイクルを継続的に回し、戦略の質を高めていく姿勢が欠かせません。
マーケティング精度向上のためにも、施策を実施した後はデータを分析し、改善を継続しましょう。
まとめ
本記事のまとめです。
BtoBマーケティングは理論だけでなく、実践を重ねることが何より大切です。
しかし、実際の現場でマーケティング戦略を実践するには、企業全体を巻き込む必要があるため、難しい側面もあるでしょう。
まずは、身近な企業を題材に「抱えている課題」や「解決策」を考えるケーススタディから始めてみてください。
ケーススタディを実施することで、より深く、BtoBマーケティングの理解が深まるでしょう。
あなたがBtoBマーケターとして企業に貢献できるよう、応援しています。